2021年8月5日 更新

【船長が語る】ルールには積み上げられた知恵と想いが詰まっている

川戸さん(第60光号船長) 1996年6月入社

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-日本海工に入社されたきっかけを教えてください

(川戸)岩手県にある水産高校を卒業し、そのまま船の仕事につきました。
当時の私にとって、学校の研修などで漁船は身近なものでしたが、日本海工のような作業船というものを見たことがありませんでした。
「なんだこの船は!」という、ある種の興奮を感じたのを覚えています。
その気持ちがそのまま原動力になり、自分の知らない世界を見せてくれる日本海工へ入社しました。


-とても物静かな印象があるのですが、若かりし頃は好奇心が旺盛だったんですね。
 実際に働いてみてどうですか?


(川戸)入社してすぐ、関東での地盤改良の現場にオペレーターとして入りました。
仕事は特に難しいという感じはなかったですが、逆に言えば、天職だという思いもなく、当時はこの仕事に長く就こうとは思っていなかったです。
ただ、よい関係を築けた同期の存在や、尊敬できる先輩や上司など、人間関係が自分にとってとても居心地が良かった記憶があります。
特に、先輩や上司からは、単に仕事だけではなく、たくさんの人生観を学ばせていただいたと思っています。
私にとって、これが私の人生観だというのは口下手なので言えませんが…今、こうして船長をしていること、私についてきてくれる船員達がいるということが、先輩達から学んだ人生観を自分のものとして活かせている証しになるかなと思います。


-これまで日本海工で活躍されていた先輩達の存在が、言葉を選びながら静かに話される川戸さんを作っているんですね。
 川戸さんにとって、忘れられない出来事はありますか?


(川戸)私がまだ一船員だった頃に起こった出来事です。
その日は少し現場全体の段取りが悪くて、現場海域から離れなければならないギリギリの時間でなんとか作業を終わらせることができました。
急いで現場から引き上げようとしていた時、普段は簡単に外せるはずの係船ロープが外せない状況になっていたんです。
ワイヤーロープがとおるローラー部分と、そこに置いてあるアンカーに係船ロープの接続部分が挟まってしまっていました。
作業場所に船を留めさせるためのワイヤーロープでしたから、当然このままでは船自体身動きが取れない、それでも、現場海域から離れる時間は迫っていると・・・。
結局、人力ではどうにもならず、揚錨船(作業船を海上に係留するためのアンカー(錨)を設置、移設、撤収する作業船)の協力を得て、事なきをえました。
原因は、私が安全のためにとルールに指定された以上にワイヤーロープをとっていたことでした。
この余分がローラーに挟まってしまっていたのです。
多少余分にワイヤーロープをとったとしても、この時のようなことが常に起きるわけではありません。
このときは、偶然だったとは思います。

ですが、この出来事でルールには、ルールが決められた背景が必ずあること。
そして、ルールには、船やその上で作業する私たちを守ろうとする先輩達の想いがあることを強く感じました。
この想いは、今現場で働いている私達にも連綿と受け継がれていると思います。

しかしルールを守っていても、想定外のトラブルは起きるんです。
そのトラブルの原因や対処法を覚え、次に確実に活かすためのルールを新たに作ります。
このルールが、未来の日本海工で働く方たちの安全を守ってくれると信じているからです。


-ルールの中にも日本海工の特徴である人の繋がりの強さがあったんですね。
 未来の日本海工で働く人に、船のお仕事ならではのよいことを教えてください。


(川戸)船員みんなでコミュニケーションをとることで、お互いの理解につながり、仕事がしやすくなります。
そうはいっても、仕事の話というよりは、野球の話が多いですけど・・・。

あとは、全国各地に行けること、地図に残る仕事が出来ることに働き甲斐を感じられることでしょうか。

自然の生き物を見ることができます。
イルカとかサメとか…九州方面ではスナメリにも遭遇しました。
大きなエイとかは普通に見ることができるので、特別でもないかな。


-仕事の話をされているときと、仕事以外の話をされているときの川戸さんを見てわかりました。
 60光号のピンと張り詰めた空気と物静かな空気、この2つの絶妙な空気感は川戸さんからきているのですね。
 インタビューさせていただきありがとうございました。
 (夕方には機械も止まり、船上は静寂に包まれます)

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